背景の描き方について何回か紹介しておりますが、今回は空気遠近法について重点的に語りたいと思います。
空気遠近法とは
例えば上の写真のように実際の風景では、手前のものはくっきりとしていて、景色の奥に行くにつれ像が空の色と似た色になっていくのが確認できると思います。
この大気が持つ性質を利用した絵の表現法が空気遠近法です。
なぜこうなるかと言いますと、水は青の光を反射する性質があり、空気中には大量の水蒸気があります。空が青いのはこの水蒸気が太陽からの光を散乱させるためだからです。
(空気中の水蒸気が青の光を散乱)
近くのものはこの水蒸気の層が浅いためはっきり見えるのですが、遠くのものを見るとこの水蒸気の層を多く介すため、結果的に青みがかりぼやけて見えるわけです。
(青い点々は空気の層です)
距離に応じて使う色域を変えよう
空気遠近法は距離に応じて使う色域を変えると表現しやすいです。
基本的に近景はコントラストを付けて描き、遠景にいくにつれ使う色を制限するといいです。
上の絵ですと、手前のロボットは色数をかなり使ってコントラストをつけているのに対して、奥の建物に行くにつれ空の色と似た色になりコントラストが少なくなっています。最も奥では、ほぼ一色で表現しています。
以前記事用に描いたこちらの風景でも近くの山は色調やディティールなどしっかり描いていますが、奥の山は青いシルエットのみです。
雲も上の雲はある程度しっかりとしたディティールで描いていますが、地平線の雲になるにつれてディティールを省略しているのが確認できると思います。
ペン画での空気遠近法
また漫画の絵等ペンでくっきりと描く場合も同様です。
実際の物にはちゃんとディティールがあるのだから、遠くの物はそれを小さく描けばいいんじゃない?
と思う人もいると思います。
しかしそれでは十分に遠近感を表現できませんし、時間もかかってしまいます。
(画像は縮小しただけなので手間はかかっていませんが、同じディティールなので、遠近感の表現が不十分です)
そこで空気が重なってぼける感じをペン画でも表現するといいです。
つまり下のようにディティールを減らしていき、疑似的空気遠近法をしてあげます。
距離ごとにディティールをへらしてあげれば、距離でぼけている感じを表現できますし、手間も減らせます。
一番奥にいたってはこんなもんで十分です。
特に顔は気を付けないと中遠距離でも調子に乗って描き込みすぎてしまうことが多いと思うので注意が必要です。
常に実際の大きさを考えて作業しましょう!!
最後に
今回は空気遠近法についてご紹介しました。
遠近法を使えれば、絵に奥行きを生まれて絵がぐっと引き立ちます。
覚えておくと便利なのでぜひ参考にしてみてください^^
↓↓遠近法については下の記事も関係あるので参考にしてみてください。↓↓
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